onco chishin

4人の子育てについてとその他いろいろ

桐野夏生さん「猿の見る夢」読み終えて

桐野夏生さん、先日のクローズアップ現代に出演されていて興味を持ち、著作を読んでみようと近くの図書館へ行ったのですが、桐野さんの棚にはたった2冊しか本がなくほとんどが貸し出し中で、さすがの人気作家さんです

これまで作品を読んだことがないって恥ずかしい?とおもいましたが、心の中で言い訳、子育て中は小説なんてよっぽど好きでないと読めないと思うわ・・・

などと、思っていたのですが、本が好きな人ならやっぱりどんな状態でも読むのでしょう

どこかから「ぐ~・・ぐ~・・ZZZ」と大きなな寝息が聞こえてきたので、誰が図書館で堂々と寝てるんだ?と音のする方を見やると、一心に本を読むママにおんぶされている赤ちゃんが、グーグーと健やかに寝ていたのでした

天気が良かったので赤ちゃんは外に出て疲れたのでしょうね、ママは赤ちゃんの重みに耐えつつ背を丸めて座り本に没頭

「本が好きなお母さん大変だな・・・頑張れ~!」と心の中でエールを送る

 

さて桐野さんの本、とりあえず棚に残っているのから読もうと手に取ったのはこの一冊です

 

残っているところを見るとそんなに面白くないのか?と思いつつ読み始めたのですがとんでもない

もう最初から引き込まれてしまって止まらなくなり、昼はネット検索もせず、夜もご飯を食べ終わってもテレビをつけず、目の前にいて退屈そうにしている旦那さんにも「話しかけてくれるな」オーラを発して読みふけり、2日間で一気に読み終えてしまいました。非常に面白かったです。

 

ただ、読んで何か感動するとか、心が綺麗に洗われた、とかは全くなくて

桐野さんの作品はこれが普通なようですね、小説の中の主人公にヒーロー性を求めてしまっている自分にも気づかされました

夫婦関係、愛人関係、ご近所づきあい、会社関係、親戚関係、親子関係・・・すべての人間関係の泥臭い部分がクローズアップされた物語で、きっと20年前なら途中で読むのをやめていたでしょう

主人公は定年前の会社員男性、あらゆることに対してその場しのぎでやり過ごそうとするいい加減な人で若いころの私なら絶対に許せなかったタイプです

いやこの年になってもやっぱり、こんな男は不幸になるべき、転落する結果を見たいと思って最後まで読んだのですが

若いころと違うのは、愛人を作ったりいろんなことをその場しのぎでやり過ごそうとする主人公に対して、哀れみを感じたり理解したりしてしまうことです

勿論奥さんにも感情移入はしますが100%ではない。自分が同じ立場になったら違うでしょうが、あくまで物語なので

 

自分も変わったな、とこの小説を読んで思いましたが、いろんな辛いことを経験してきた結果、ということでしょうか

もっと桐野さんの本を読みたくなり、次の人のためにもすぐに返却しようと図書館へ行くと、なんと棚には1冊もありませんでした

予約すればいい話なんですけどそれも待ってられないので、また明日やってこようと決意

 

コロナ禍が始まった年にユーチューブを見始めてからというもの、この2年はずーっとユーチューブ三昧だったためか、久しぶりに小説に没頭できたのは何だか新鮮で、

なんだろう?頭がすっきりしたというか・・・まあ良かったです

こんな私ですが、なぜか妊娠中だけは不思議と歴史物がやたらに読みたくなったんですよね

それぞれの子どもがお腹にいる時、家事の合間にむさぼり読んでいました

長男の時は「フランス革命」次男の時は「ワイルドスワン」長女の時は「宮本武蔵」三男は「大地の子」・・・

やたらグロテスクな描写のある小説を何故か誰かがお腹にいる間は無性に読みたくなり、そして出産が終わると全く読みたくなくなって本当に不思議でした

なんだったのでしょうね?ホルモンバランスの関係なんでしょうか

これから挑む出産への恐怖を、現実にあった恐怖で紛らわそうとしていたのかも・・・