onco chishin

4人の子育てについてとその他いろいろ

読書日記(5)

今回はこれです

その前に読んだのがこれ

たまたま手に取ったこの2冊はシリーズものでした。女探偵、村野ミロシリーズ

前者はそのスピンオフで、ミロの父親である探偵、村野善三の若かりし頃のお話

まず驚いたのが、桐野さんてこんなにカッコいい男性も書けるんだ(失礼)ということ

桐野氏の小説にでてくるのは、男性に限らず女性もみな俗世間的な人たちで(「バラカ」と「砂に埋もれる犬」は例外あり)

だから感情移入しやすく、その俗人間たちが織りなすドロッドロな人間模様がたまらなく面白いのです。この年齢になると

しかし村野善三、桐野小説にあまり出てこないタイプで私のドストライクでした。一昔前のハードボイルド

朝ドラに出てくるような全く毒のない「いい人」でもなく、ドラマの主人公のようなキラキラしたいい男でもなくて、人間的に素敵だと思える漢

ミロの母親との馴れ初めもあってこれがまたよい。どんな恋愛ストーリーより好きなパターンでした

俳優さんが演じるなら誰かな?すぐには思い当たらない

近いのは唐沢寿明さんかな、ちょっとカッコ良すぎるもっと男臭いかんじだけど。永瀬正敏さんかなもう少し堅い感じだけど。20代設定だが若い俳優さんは知らないから思い浮かばない

そしてミステリーといっても謎解きに焦点があるわけでなく、その背景にスポットがあたっている社会派ミステリー(と呼ばれているのだろうか)なのがまた読みやすかった

脳の衰えでしょう、謎解きがめんどくさくて途中犯人を全く考えない。ミステリー読む資格なし

週刊誌のトップ記事を書くフリーライター「トップ屋」。こんな職種(?)があることも知りませんでしたが、彼らの仕事にかける生き様が焦点になっていて、時代は戦後東京オリンピック間近

村野達はよくお酒を飲みなにかと煙草を吸う。この時代に生きていたわけではないけど、昭和の風景って感じ

私の父もヘビースモーカーで、来客があると必ず大きな灰皿を出し、大勢いるとリビングがタバコの煙でもうもうと霞がかっていたことも

父の息がタバコ臭くて大嫌いだった私ですが、学生時代には周りが吸っていた影響で吸っていたことも。今の若い人はほとんど吸いませんね

もちろんそれはいいことと思いますが、代わりに携帯画面をずっとみてるイメージ、我が子を見てですが

煙草吸う人は迷惑ものとばかりに個室に閉じ込められているのを見ると、時代が変わると風景が全く変わるのだと驚きます

10年後にはどんな人が閉じ込められているんだろう。歩きスマホしてる人か、マスクをしない人か

 

警察からも大手新聞の記者などに比べて格下と扱われ、記者クラブにも入れない村野達

報道規制に反発し勘と行動力と危険な駆け引きで真実を暴こうとする。今なら報道規制に従わなかったら国民から非難されそう。今も忖度なしに報道するのは週刊誌ですけど

ただ、週刊誌で報道されても国民は無反応で、テレビなどの大手が取り上げてようやく関心を持ったりするのはどうしてだろう

そしてこの2冊とも搾取される少女が描かれていて、桐野氏の小説にはよく出てくる問題提起ではありますが、これは時代が変わっても変わらない搾取の構図なのはなぜだろう