以前の記事にも書きましたが、いまさらながら桐野夏生沼にはまってしまいました
現在無職(求職活動中)で暇なのをいいことに図書館へ足しげく通い、ひたすら読みふけっています
こんなに読書に時間を費やすなんて小学生以来のこと
つまり今は「小学生レベルのゆとり生活」をしていることになります。なんと幸せな
でもなぜ「桐野作品」なのか
もちろん、数多くの賞を受賞された作家さんであり、どれも優れた小説であるからなのでしょうが
私が女性作家さんの小説をこれまであまり読んでこなかった、なのに今沼っているのは、小説を通して女性としての自分の人生を振り返る心地よさからだと
女性として母として妻として社会人として・・・いろんな役割を経験したこと、その悲喜こもごもを振り返ることは
子育てにひと段落してほっとした今、とても心地よい時間なのです
そこで私なりに感じた感想を簡単に書いていくことにしました
ネタバレないように書いたつもりですが、これから読もうと思っている方は気を付けて読んでいただければと思います
まずは「東京島」から
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第44回谷崎潤一郎賞 受賞作品、大変に読みごたえがあり面白かったです
無人島に漂着した集団の中でたった一人の女である主人公、清子は、とてもしたたかな女性
食べるために蛇を捕らえることなんか当然、夫を裏切り、体を武器にその時々で力を持つ男になびく、生きるためにはなんだってやる
清子には共感できるところもありできない部分もあるのですが、こうなれないのなら無人島で生き残ることは出来ないだろうなと
「東京島」から果たして全員が無事に脱出できるのか
正規非正規と分断された日本人たち、自分さえ助かればいいと考えている東京島の漂流民たちは、現代社会の私たちのようではないかとも思わされました
次に「バラカ」
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東日本大震災後に書かれた小説だそうで、原発事故が起きた日本が舞台
原発事故について、外国人労働、DV、宗教、人身売買、etc・・・
是か非か、といった単純な解答はないであろうテーマを、よくも一つの小説に盛り込むことが出来るものだと感服いたしました
原発事故後、現地でボランティアに入っていた老人に運よく拾われたものの、身勝手な大人たちに翻弄される。しかしたくましく生きようとするバラカ
読み終わるまで、彼女に新たな出会いがあるとこの人は敵なのか?味方なのか?どうか味方でありますように!と心配で心配で、味方だとわかったところまで読んで安心しないと寝られない日々でした
映画やドラマにでもなったらさぞかし面白いだろうな、と思いましたがないでしょうね
エンタメ的に読みたい人も、じっくりと真面目に考えたい人も読みごたえある作品だと
家族にもできれば読んでほしいので、家に買って置いておくつもり
次に「ハピネス」「ロンリネス」
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タワマンに住む子育て中のママ友たちの交遊と葛藤を描いた小説
これはもう、まさに私の子育て期を「そのまんま」描いたかのようで、自分が過去にタイムスリップしたような感覚で大変面白かった
ママ友とのめんどくさいやり取りを「あー、ありがち・・・」と大いに共感
私はタワマンに住んでませんが、タワマンじゃなくても女社会は大なり小なり似たようなもの
綺麗でお金持ちのママ友と自分を比較し、自信を失いながらも我が子にはその屈辱感を絶対に味合わせたくない、という敵対心プラス親心、主人公の有紗の気持ちはものすごーくわかる
子育てに理解がない夫との軋轢、義理両親への想いなど、そうそう、旦那なんてね、ママ友と何があったって俺は知ったこっちゃないだし、子どもはごはんさえ食べさせてれば勝手に植物みたいに育つと思ってて、子どもの将来のことなんて全く考えてないし!
と当時の怒りが再燃・・・
でも客観的に見ると、そんなに怒ったり考え込んだりすることはなかったんだな、考えすぎだったわ、と思ったり、いやこれはそうなるわ当然だわ、と思ったり
子育て中の人も、子育てが終わった人にもおすすめです。モヤモヤがスッキリ
次は「砂に埋もれた犬」
これは凄い小説でした。長くなってしまったので続きはまたの機会に