onco chishin

4人の子育てについてとその他いろいろ

読書日記(4)

今回はこれです

夫を殺してしまったパート勤めの妻と同僚の女性たちが共謀して死体処理をするお話

1998年に日本推理作家協会賞を受賞したという本作、ドラマ化、映画化もされているんですね。海外でも高く評価されていると

肩書は十分、退屈な日常をどうにかしたい方にはホントにおススメの本です。これ読みおわったらロスになるなと最後ぺースダウンして読んだくらい面白かった

これがお茶の間で流れてたとはびっくりですが、コンプライアンスとかうるさくない時代だったのか

ドラマ化は99年、田中美佐子さんと飯島直子さんでミステリーのドラマやってたことはうっすらと覚えてるけど全くみていません。飯島さんのキャラは原作にないからアレンジされてるんでしょうね

放送当時、長男が1歳、私は育児という殻に閉じこもり一日を終えるのが精いっぱい

テレビや世間のことには一切興味を抱いてなかった頃

ワンオペという言葉もまだなく、自分のキャリアの可能性を捨てて子育てという役割を一人で受け持つことについても、不安や不満はあれど仕方ないと思っていた

でもそれはそう思った方が楽だったから。受け身になることが楽だったから

当時原作を読んでいたとしたらどう思っただろう

主婦たち4人に共感は全くしなかったでしょう、多分。女も働けという圧も今ほど強くなくて専業主婦はまだ存在が許されていたし

しかも主婦がこんな、旦那殺しなんてあり得ない、弥生のことは浅はかで甘いと思い、邦子には軽蔑し、ヨシエには同情したでしょう

雅子なんて、なんでこんなことするのかと理解できず、カッコいいとも全く思わなかったと思う

それが今、それぞれの事情がちがう4人全員に共感できるし、雅子の自由になりたいという気持ちもすごーくわかる

結局、当時何を観て聴いたとしても、今の自分の気持ちを想像することができなかっただろうし、行きつくところは決まっていたのだと思う、雅子のように

 

で、これは推理小説ではなく犯罪小説でもなく社会派小説(ていうの?)でもなく、純愛小説だと思うのは私だけでしょうか。そんな書評を全く見ないので私は感覚がおかしいのかも

自分と同じ感覚を持つ人を魂で愛してしまう気持ちすごくよくわかる

若くて完璧な美をもつホステスに言い寄られても見向きもせず(猟奇的なところよりここがフィクションっぽいと思う)殺した女を一途に想う佐竹

好きな男に殺してほしいと思う雅子の気持ちもわからなくはない。と言ってもなぶり殺しされるのはさすがに嫌だけど

桐野氏の小説はどれも先が知りたくてハラハラしながら読むので、ドラマ化したら面白いだろうなといつも妄想します

雅子は私は尾野真千子さんのようなイメージで読みました。気が強くて賢そうで俊敏で正義感があるけど現実主義者で目力がある、背筋がすっと伸びてかっこいい女性

佐竹はあんな狂気の人は俳優さんにいないから架空の人物をイメージしてましたが、尾野真千子さんの相手なら鈴木亮平さんとか草薙剛さんとか松田龍平さんなんか、狂気の中の歪んだ愛情をカッコよく演じてくれそうだなと。十文字は菊池風磨

観たいなあ